みかわち焼き

染付龍刻唐獅子牡丹文花瓶 そめつけりゅうこくからじしぼたんもんかびん

高36.0cm 口径17.5cm 江戸時代末期 [佐世保市蔵]

高温の焼成で垂れて曲がりそうな、歯、眉毛、背鰭、足の爪の細かな部分が鋭いまま保たれている。

その緻密さは、並大抵ではない技術力と経験値の高さをうかがわせる。磁器の壺にほとんど割れることなくぴたりと龍像を接着させるという当時の作業工程は、今では想像し難い。濃(だ)みと線描きによるめりはりの効いた絵付けは、明るく淡い色の濃み、強調しすぎない繊細な線からも江戸時代のものとは少し異なると考えられる。また上に広がる器形は珍しく、欧米文化の影響(アールヌーヴォー)もうかがえる明治時代の作品とも推定できる。

胴体部分の染付の獅子は、繊細な骨描きと幽玄なボカシ濃みによってふわりとした立体感や躍動感が生まれている。底の部分は二重の剣先文が囲んでいる。

江戸時代前期〜後期(17世紀〜19世紀前半)

江戸時代末期から明治前期(19世紀半ば〜後半)

明治から昭和初期(20世紀)